子どもの矯正
『子供のときから始める矯正治療』と『大人になってから始める矯正治療』とでは何が違うのですか?
ここでいう子供の矯正治療とは、永久歯と乳歯が混在する混合歯列期のことを言います。子供と大人の違い、それはこれから成長するかどうか、にあります。よって子供のときから始める矯正治療は、顎の成長発育を利用しながら行うという点で成人の矯正歯科治療とは異なります。
乳歯と永久歯が混在している混合歯列期であれば、骨が柔らかいため、顎を横にも縦にも広げることが可能で、歯も動きやすいと言われています。永久歯への交換時期を利用することで、萌出するスペースさえ確保できれば、ある程度自然に正しい位置に永久歯が萌出するよう誘導してあげることが可能です。
残念ながら、永久歯への交換が終わり第二大臼歯が萌える12、13歳になれば、上顎に関してはほぼ成長が止まりつつあると言われていますので、顎を広げるということが難しくなります。よって、ガタガタや出っ張りを治すためのスペースを確保するために良い大人の歯を間引く(抜歯)ことが必要になってしまいます。
これが混合歯列期から矯正を始める大きな違いであり、メリットになります
治療について
こどもの矯正治療は大きく分けて、一期治療と二期治療に分かれます。
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一期治療について
一期治療とは混合歯列期に行う治療です。この段階では歯並びをきれいにするというよりはむしろ、乳歯から永久歯の生えかわりをうまく誘導してあげたり、顎の成長をコントロールしてあげたりする時期です。ですから、すべての歯が永久歯に生え変わるまで定期的に治療と観察を行っていかなければなりません。
一期治療はだいたい6歳臼歯(第1大臼歯)が完全に完成した9歳くらいから始めるのが一般的ですので、それから12歳臼歯(第2大臼歯)が生えてくる3年間くらいかかります。しかしながら、この間、ずっと毎月来院するわけではなく、2, 3ヶ月に一回のペースで来院して頂く時期もありますし、観察の時期では3ヶ月~半年に一回のペース(春休み、夏休み、冬休みなどの大きな休みごとなど)で来院して頂きます。ですから、期間は長いのですが、来院回数は想像されているよりはずっと少ないと思われます。
永久歯への交換が終わって初めて二期治療へと移行していきます。
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二期治療について
二期治療とは、永久歯に全部生えかわってから必要があり、希望された方が行う治療です。
具体的には、歯の表面にブラケットという装置をつけて、ワイヤーを使って1本1本の歯をきれいに並べていく治療です。この金具は取り外しができず、大体1年半~2年という期間がかかります。ガタガタの歯がきれいに並んでいくときに歯は骨の中を移動するのですが、このかたい歯がかたい骨の中を移動するのに時間がかかってしまうのです。*永久歯に交換が終わってから、矯正治療を始める場合は、この金具をつけた治療からスタートとなり、金具をつけたまま3年程度の治療期間が必要となります
一期治療で使用する装置について
子供の矯正治療で使用する装置は、ほとんどが取り外しのできる装置になります。
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拡大装置
真ん中の銀色の部分がネジになっており、こちらを定期的に開いていくことで顎を左右に拡大していきます。拡大の量としては1ヶ月で0.5ミリ程度です。上下どちらの顎にも使用できます。
お食事や入浴の際は外して頂きますが、それ以外の時間はなるべく長く装着して頂くようお願いしております。
最初はしゃべりにくい感じがありますが、子供さんは適応能力が大人と比べて高いため、どんな方でも一週間程度で問題なくご使用頂けます -
ヘッドギア
こちらは上顎の第一大臼歯(6歳臼歯)のみに金具を装着し、頭につける帽子からダイレクトに第一大臼歯を後ろに引っぱり動かす装置になります。後ろに動かすだけではなく、顎の成長方向のコントロールにも役立ちます。こちらも最初の2-3ヶ月は朝まで付けていられなかったりすることはありますが、比較的簡単に慣れて頂ける装置になります。
就寝中がメインにはなりますが目安として1日10時間程度の装着が必要となります。とはいえ、最近の子供さんは塾やお稽古ごとなどもおありかと思います。平日に10時間が難しければ、土日に少し長めに使用して頂き、一週間で70時間程度の装着をお願いしております。 -
リンガルアーチ
永久歯への交換が進み、残すところ乳歯が左右1本ずつ、なおかつ永久歯交換へのスペースは確保できている場合に使用する装置です。第一大臼歯に金具をつけ、金具同士を舌側で針金で結ぶ構造になっています。こちらは一旦装着すれば取り外しはできません。上下どちらにも使用できます。
この装置でも多少の拡大効果は認められますが、第一大臼歯のみを動かすことになりますので、拡大装置ほどの大きな効果はありません。
こどもの矯正治療のQ&A
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Q.矯正治療は痛そうなのですが、子供が耐えられるか心配です。
個人差がありますが、耐えられないような痛みではありません。矯正装置が付き歯を動かし始めると、歯が動く時の生体反応により、歯が浮いた様な違和感や痛みを感じることがあります。通常、2~3日で落ち着いてきますが、1週間くらいで消失します。この痛みは、患者さんによっては全く痛みを感じない方もいらっしゃいます。ただ、痛みの感じ方は人それぞれ違いますので、1週間を超えてもお痛みが続く場合はお知らせください。
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Q.矯正治療中の歯磨きは難しいですか?
歯に矯正装置が付くと何も付いていない状態に比べて、磨き方がすこし複雑になります。装置の周辺に汚れがたまりやすく、虫歯や歯肉炎になる場合もあります。そのため、治療中の歯みがきは日々欠かせないものとなってきます。
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Q.混合歯列期に矯正を始めるメリットは何ですか?
例えば、ガタガタなどの悪い歯並びを放っておいてすべて永久歯にはえ変わってしまいますと、それをきれいな歯並びにするためには歯を抜かなければなりません。 しかしながら、子供のときから矯正歯科治療をすることによって、将来永久歯にはえ変わってから、歯を抜かずに治療できる可能性が高くなります。 ただし、歯の大きさが顎の大きさに対してかなり大きい場合には、抜歯が必要になることもあります。
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Q.歯並びを悪くする癖があると聞きましたが本当ですか?
最近、“常に舌が見えている”、“口呼吸をしている”、“口がぽかんと開いている”お子様が増えてきているように感じます。これらは全て歯並びを悪くする癖と言われています。
このような悪い癖を早期に見つけ、それに対するトレーニングを行って正しい機能を身につけることは、歯並びをよくするだけではなく、全身の健康にもつながると考えています。
ただし、正しい機能を身につけるためには、ご家庭でのご協力が不可欠であることもご理解下さい。
歯並びを悪くする癖
口呼吸、指しゃぶり、爪を噛む、ほおづえ、うつぶせ寝、片方の歯だけで咬む、唇を噛む、飲み込む時に舌が出る、口がぽかんと開いている -
Q.治療はいつから始めるのがいいの?
歯と歯茎、顎の骨がしっかりしていれば、矯正歯科治療はいつでも開始することができます。小学生、中学生、高校生、大学生、社会人になってからでもスタートすることはできます。最近では40代の方の矯正も流行ってきています。
子供の頃から矯正歯科治療を始めると、悪い歯並びに結びつく癖に早期に気付いてその改善に努めることができたり、乳歯から永久歯へのはえかわりを誘導してあげたり、ある程度顎の成長をコントロールしたりできます。そして結果として、将来的に歯を抜かなくてすんだり、金具を付ける時間が短くできたりします。このように治療の選択肢の幅が広がるという意味でも、子供のころから矯正歯科治療を始められることはおすすめではあります。6歳臼歯が完全に出来上がる9歳前後が治療を開始するにはいい時期と考えられます。
ただし、混合歯列期に治療を始める難しさは、“本人のやる気”があるかどうかです。“本人のやる気”がないと装置やトレーニング、通院に対する協力が悪かったりするので、治療を早く始めたとしてもいい結果が得られません。また、金具を付けてもなかなか歯磨きをしてもらえず、虫歯のリスクが増え、虫歯だらけになってしまうことに繋がります。混合歯列期の矯正治療は、いかに本人がやる気になって頂けるかで、治療の仕上がり具合に影響するという意味では、この時期の治療は難しいと思われます。
しかし、成人になってからでは、成長を利用した治療はできませんし、歯並びの改善に抜歯が必要になることも少なくありません。ただ、高校生以上になれば、ある程度本人のやる気が得られるため、装置や治療に積極的になって頂けたり、歯磨きも自分でしっかりできる、といった要素があり、治療がスムーズにうまくいくこともメリットとして上げられます
どちらがいいか、今始めるのが果たしてベストな選択か、ということは子供さんや、子供さんを取り巻く環境によって変わるかと思いますので、ご家族でよくよく検討して頂く必要があります -
Q.歯並びがよくなっても”後戻り”があるって本当?
本当です。歯は、動かした後そのままにしておくとまた元の位置、つまり悪い歯並びに戻ろうとします。そのため、きれいに並べた歯をそのまま保つために、この後「保定」という治療が必要になります。この間は、金具は外しますが、取り外しのできる装置に変えて、きれいな歯並びに歯茎や顎の骨がまとわりつき、安定するのを待ちます。この保定の期間は約2~3年で、通院間隔は3~6ヶ月に一回程度です。
よって、子供から始めると最短でもだいたい中学生から高校生くらいまでかかります。しかしながら、前述のように積極的に歯を動かしている期間、観察をしている期間がありますので、治療に時間がかかるというよりは、長期間管理していくと認識して頂けると幸いです。 -
Q.管楽器を使っているのですが、矯正歯科治療はできますか?
これにつきましては、こちらのホームページをご覧下さい。